「2025年問題」に向けて高まる福祉職の需要

「2025年問題」に向けて高まる福祉職の需要<最終更新日>

日本の現状を表す時、よく少子高齢化と言いますね。子どもや若者が少なく、高齢者が多いということです。事実、昔から日本は国民全体に対して高齢者の割合が多い高齢化社会であると言われていました。しかし、2020年現在、日本にはさらに高齢者が増えています。

日本における「超高齢化社会」

「超高齢化社会」という言葉を、1度は聞いたことがあると思います。「超高齢化社会」とは、65歳以上の人口の割合が、総人口の21%以上を占めている社会のことです。

日本は、既に超高齢化社会になっています。高齢者の割合が増えたことにより、年金や医療費、福祉をめぐって様々な問題が生じています。日本全体における高齢者の割合は、今後も増えていくと予想されています。

団塊の世代による「2025年問題」とは?

「2025年問題」とは、「団塊の世代」が後期高齢者となることで生じるとされている、様々な分野への影響のことです。
日本には、特に人口が多い「団塊の世代」と呼ばれる世代の人々がいます。第二次世界大戦直後の、1947年から1949年生まれの人のことです。第一次ベビーブーム世代とも呼ばれるほど、爆発的な人口増加を引き起こしました。この団塊の世代の人達は、2025年になると、全員が後期高齢者、つまり75歳以上になります。

2025年に団塊の世代の全員が後期高齢者となることで、日本の高齢者割合はさらに増えます。そのため、医療や社会保障、介護などの問題も深刻になると、今から懸念されています。これが「2025年問題」として、現在の日本の課題になっています。

2025年問題で需要が高まる職業について

若者の割合が減り、高齢者の割合が増える。それによって様々な問題が生じる恐れがある…このような背景から、現在は福祉に関する仕事の需要が高まっています。特に、医療施設や高齢者施設における福祉職のニーズが高いです。

2025年問題に向けて必要とされている福祉の仕事は、大きく以下の5分野に分かれ、仕事内容も異なります。

分野 仕事内容 資格
介護 身体上、または精神上に障害を持つ人に対して、日常生活の介護を行う ・介護福祉士
保育 子どもに生活習慣を身につけさせる。集団活動や社会性を育成する ・保育士
相談援助 相談に応じて助言・援助・支援を行う。ソーシャルワーカーとも呼ばれる ・社会福祉士
・精神保健福祉士
看護・リハビリテーション 傷病者の世話・診療の補助。身体の機能回復や日常生活への復帰を目指したリハビリテーションの実施 ・看護師
・保健師
・理学療法士
・言語聴覚士
・機能訓練士
栄養・調理 栄養指導・食事管理を通して、健康の保持・増進に努める。病気を予防・治療する。 ・栄養士
・調理師

このうち、特に「社会福祉士」は、今後の活躍が期待されている国家資格の1つです。

「社会福祉士」とは?

「社会福祉士」は、福祉・医療の相談援助に必要な知識・スキルを備えた、いわば福祉のプロフェッショナルです。介護福祉士、精神保健福祉士とあわせて「3福祉士」と呼ばれています。社会福祉士は、老人ホームや介護施設、高齢者福祉施設、グループホームのほか、児童相談所や母子支援施設、医療機関などでも必要とされている、大変ニーズのある仕事です。

社会福祉士を目指すには?

社会福祉士になるためには、毎年2月上旬頃に実施される国家試験への合格が必須です。社会福祉士の合格率は例年30%程度と高くはなく、福祉系の資格の中でも難しいと言われています。受験するためには、実務経験を積む・大学や短大を卒業するといった条件をクリアしなければなりません。

実務経験を積んでから社会福祉士を目指す

実務経験を積むことで資格取得を目指す場合は、福祉司・指導員・相談援助の実務経験を、決められた期間務めた上で、養成施設などで必要なカリキュラムを履修しなければなりません。カリキュラムの履修に要する最短期間は、実務経験が長いほど、反比例して短くなります。

大学・短大から社会福祉士を目指す

大学・短大から資格取得を目指す場合は、こちらの大学のように、国家試験を受けるための資格を取得できる学校を探しましょう。
東京通信大学は、在学中に必要単位を取得することで、卒業後から、社会福祉士の国家試験を受けられるようになります。単に試験を受験する資格を得られるだけではありません。試験対策が行われるほか、大学提携施設・病院などで実習を行い、実践力を身に着けることも可能です。
また、通信制であることも大きな魅力です。現在、社会人として仕事をしている方の中には、通学制の大学に通う時間がとれず、社会福祉士の資格取得を諦めていた方もいるかもしれません。しかし、通信制大学を利用すれば、時間に制約がある方でも社会福祉士の資格取得試験を受けることができます。

資格取得後の働き方

資格を持っていたとしても、社会福祉士として、専門的な仕事を行うまでには時間がかかります。通常、現場の介護職の経験を経て、「生活指導員」になるケースが多いです。
生活相談員とは、老人ホームやデイサービスなどの介護施設で、相談業務や調節業務を行う仕事のことで、ソーシャルワーカーとも呼ばれます。施設の利用者とその家族が快適に過ごせるよう、様々な相談に乗ったり、他のスタッフや関連機関と連携したりします。
基本的には、社会福祉士・精神保健福祉士・社会福祉主事任用資格など、福祉に関わる資格を保有することで、生活相談員として働けます。

まとめ

「2025年問題」は、すぐそこまで迫っています。既に影響を受けている分野や業界もあるでしょう。
高齢化社会に向けてニーズの高まる仕事に就きたい方は、社会福祉士を目指してみてはいかがでしょうか?

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